前回は「選択と集中」について書きました。
今回はそれを実践するための、基本的な理論(法則)を紹介します。
<ランチェスターの法則>90年近く前に提唱された戦闘に勝つための理論で、ランチェスターの法則というものがあります。これは現在のビジネス戦略にも(非常に基本的な部分で)応用できる部分があります。「選択と集中」を実行する上での基礎的な理論として考えることができるからです。
ランチェスターの法則には第一法則と第二法則があり、それぞれ古代の戦闘用(一騎打ち型)と近代の戦闘用(集中砲火型)の法則を表しています。
<第一法則(線形法則)>5人のX軍と3人のY軍が戦った時に、生き残るのはX軍の2人という法則です。一騎打ちですので、武器の強さや個人の技量を除くと、3人と3人が相討ち、2人が残るというわけです。
数式では
A(X1−X2)=B(Y1−Y2)となります。(本来はAがないようですが、あえて付加しました。)
A、B:それぞれX軍、Y軍の武器や技量の強さ
X1:X軍の戦闘前の兵士数
X2:X軍の戦闘後の兵士数
Y1:Y軍の戦闘前の兵士数
Y2:Y軍の戦闘後の兵士数
これを変形すると、
X2=B/A(Y2−Y1)+X1となりAとBが同じとすると、Y2は0になるので
X2=X1−Y1となります。
これが一騎打ちの法則で、武器や技量の強さ(質)と兵士の人数(量)に比例して結果が決まる、というものです。
質×量なので、どちらかを増やせばそれがそのまま結果に寄与する、というわけですね。
<第二法則(二乗の法則)>一方、第二法則は集中砲火ですので、5人のS軍と3人のT軍が戦った時にはS軍が4人生き残ります。
なぜなら、
S軍の1人がT軍から攻撃を受ける確率は1/5×3=3/5で、
T軍の1人がS軍から攻撃を受ける確率は1/3×5=5/3だからです。
比較するために分母を統一すると、
S軍の被攻撃率: 9/15
T軍の被攻撃率:25/15
となり、T軍の方が圧倒的に攻撃を受けることになるからです。
これを式で単純化すると、
S2=√(S1×S1−T1×T1)となります。
つまり、集中砲火の法則では、武器や技量の強さ(質)と兵士の人数(量)の2乗に比例して結果が決まります。
質×量×量なので、質を増やすのも大事ですが量を増やしたほうが効果的、ということになります。
<ビジネスへの応用>現代ビジネスでの競合他社との戦いは、現場での一騎打ちもあれば、組織としての戦略レベル(集中砲火)もあります。どちらの場合も、競合に対してどれだけの量をつぎ込めば勝てるか、というのが経験からわかっています(一騎打ちの場合は√8倍、戦略レベルでは√3倍と言われています)。
現代ビジネスはより複雑なため、例えば営業マンを√8倍にすれば勝てるかと言うとそうではありません。提案力や事前のマーケティング力など、いくつもの要素が絡んできます。
また先行者がいる市場では、いくら頑張っても追いつけない、という安全距離があります(これも一騎打ちの場合は√8倍、市場シェアなどでは√3倍と言われています)。もちろんここにも複雑な要素が絡んできますが。
ビジネスでは、これらの数値を一つの目安とし、自社やチームが攻める(勝てる)市場を明確にし、集中砲火するようにして下さい。ただ、あくまでも目安なので、信用し過ぎるのは問題ですよ。
実は前回少しだけ触れたジャック・ウェルチのナンバーワン戦略も、GEを去る際にそれが誤りであったと語ったと言われています。自社が対象とする市場を絞り過ぎ、本来は勝てる可能性のあった分野を捨てていた、というのが理由です。企業の成長のためには勝てる市場にだけ注力するのではなく、新たな成長の芽を生み出し続けなければならない、難しいですね。大企業だけの贅沢な悩みかもしれませんが。
いずれにせよ、ランチェスターの法則のような基礎的理論は、知っておいて損はありません。有効活用できるかどうかはあなたの手腕次第ですが。知っていようと知らずにいようと、優れた結果を残すためには有益な理論です。
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posted by jhirano at 13:43|
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