2005年06月01日

BSC(3):能力と学習の視点、具体例

さて、それでは今日から BSC の 4つの視点について、それぞれの KPI と位置づけられる具体的な例を考えて行きましょう。まず最初は「能力と学習」の視点です。

既に述べた通り、能力と学習の視点とは「従業員の業務遂行能力」という視点のことです。例えば国際線のパイロットであれば、ジャンボジェットの操縦スキルはもちろん、英会話能力、危険回避能力、応急手当て力などが必要になります。

一般的に、業務遂行能力は座学と実務演習、自己啓発で向上させることができます。これらを能力と学習の視点における KPI と設定することがわかりやすいです。

つまり、
 (1)社内外の研修を受けた人回数(人数×回数)
 (2)実際の仕事を通して身に付けたスキル
 (3)自己啓発により身に付けたスキル

この 3つを指標として管理しましょう。
(それぞれについて、複数の指標を設ける場合が多いです。)

もちろん、前提としては「業務を遂行する上で必要なスキル」をあらかじめ定義しておかなければなりません。むしろ KPI の設定よりもこちらを大事に、時間をかけた方が良いでしょう。社内外の研修を受けるのは良いのですが、それが本当に自組織のビジネス分野に合っているのか、競争力強化につながるのか、しっかり考えておくべきですね。

また、(1)は受講回数なので把握することが簡単です。それに比べ(2)や(3)は評価が難しいものです。スキルの向上を何らかの試験で得点化するか、本人とマネージャーとの対談や仕事の中でレベルを把握しなければなりません。何度も述べていますが、KPI は数値化して達成レベルを計ることが必要です。

例えば、国際線のパイロットの場合は以下のように考えられます。
(1)入社後3ヶ月間は全員、ボーイング777機のシミュレータで1ヶ月に50時間の操縦演習を経験すること → 実際の経験時間で評価する
(2)入社後4ヶ月目から半年は全員、副操縦士として1ヶ月に30時間のフライトを経験すること → 実務経験の時間と、操縦士からの評価レベルで評価する
(3)今年度中に 9割のパイロットが TOEIC 900点以上を取る → 会社としては特に研修を行わないが、個人の自己啓発による評価を TOEIC という形で行う

業種が異なれば必要なスキルも異なります。ビジネス展開の領域によってもスキルは異なります。まずは自社のビジネスに必要なスキルを定義し、それから KPI を設定しましょう。あとは BSC の視点に沿った評価を、半年や一年に一度確実に行い、改善していくことです。

次回は内部プロセスの視点について述べたいと思います。

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2005年05月31日

BSC(2):結果の因果関係

しばらく少し話が逸れましたが、BSCの解説に戻ります。
BSCの結果の因果関係については少し触れましたが、もう少し詳しく書きます。

BSCには4つの視点があり、その結果には下図のような因果関係があります。

BSC(2).JPG

図:BSC の結果の因果関係

図の矢印は、上の評価を向上させるために、下の評価を向上させなければならないことを意味しています。それぞれ具体的に見ていきましょう。なお、4つの視点の具体的な指標については、後日書きたいと思います。

<@能力が向上すればプロセス改善につながる>

能力とは通常、従業員(メンバー)の業務遂行能力を意味します。
例えば、工場従業員の作業効率も能力の一つです。
その場合、1分間に3個作れる能力が、5個作れるようになれば能力の向上です。

営業担当者であれば、日報を書く能力、伝票を発行する能力などです。
日報を書くのに1時間費やすのと、10分で済むのでは大違いですね。
これを細かく言うと、文章作成能力や、パソコン操作能力などとなります。

これらが内部プロセスの改善につながっていきます。
工場従業員が1分間に5個作れれば、生産性という数字につながります。
営業担当者が日報を短時間で書ければ、顧客対応時間の向上につながります。

これが@の矢印の意味するところです。

<A能力が向上すれば顧客の評価が上がる>

同様に、例えば営業担当者の製品知識が深まり提案力が上がると顧客満足度が上がります。(顧客は情報収集に余計な時間を使わずに済みますよね。)
製品情報を適切に伝えることで、顧客からの指名買いも増えるかもしれません。

生命保険の外交員でもそうですが、やはり法令知識や商品知識を知っているのと知らないのとでは、顧客の印象が変わります。顧客の質問に対し、即座に適切な回答ができるか、これで顧客の評価は段違いです。

これがAの矢印の意味するところです。

<Bプロセスを改善すれば顧客の評価が上がる>

ここで言うプロセスとは、企業・組織内部でのプロセスのことです。
また、企業・組織が生産・販売する製商品・サービスも図の(2)に含めます。

企業におけるプロセスは、戦略企画・市場調査・研究・開発・生産・販売・サポートなどのプロセスがあります。各プロセスを効率良く回転させること、各プロセスの成果を高めること、全体としてのプロセスに関連性を持たせること、それらが内部プロセスの評価となります。

当然、提供する製商品・サービスが顧客による評価につながります。
低価格、多機能、省スペース、低騒音、高出力、高効率、速い、使いやすい、おいしい、保障が厚い、気持ちいい、などが顧客の評価を高める特徴です。
企業内部のプロセスや製品・サービスを改善し、これらの価値を提供できれば、自ずと顧客からの評価も高まります。

評価が高まると、売上にもつながってきます。
1顧客あたりの注文回数やAランク顧客の数などが向上してきます。
(顧客のランク付けについては、別の機会に解説したいと思います。)

これがBの矢印の意味するところです。

<Cプロセスを改善すれば財務効果が出る>

同様に、プロセスが改善されるとコスト削減という形で財務効果が現れます。
各プロセスの簡略化、省力化、効率化などがコストを下げる要因となります。

基本的に、内部プロセスの視点ではコスト削減を考えます。
売上高の向上は、顧客があってのことですので、顧客の視点で考えます。

また、内部プロセスの改善・確立は株主に対するアピールにもなります。
企業ガバナンスや関係会社との役割分担を明確化できないと、企業経営の資質を疑われ兼ねません。当然、株主からの反響は株価に現れ、時価総額の低下を招き、最悪の場合、買収の危険に晒されることもあります。

これがCの矢印の意味するところです。

<D顧客の評価が上がれば財務効果が出る>

最後に、顧客の評価が上がると売上増大という効果が現れます。
これはBでも述べましたが、顧客の購入頻度が上がったり、一度の購入・受注あたりの金額が上がったりすると、売上が増大します。
これはもちろん顧客からの評価・評判が向上することによる効果です。

これがDの矢印の意味するところです。


以上、今日はBSCの結果の因果関係について書きました。
次回からそれぞれの視点の指標の例を考えたいと思います。
posted by jhirano at 14:31| Comment(3) | TrackBack(6) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月30日

KPI (Key Performance Indicator : 主要業績指標)

ビジネスの活動を評価・検証する指標として、KPI という呼び方があります。
ビジネス活動の最終的な評価である、財務指標に結びつく(Key となる)ような活動・行動(Performance)の指標(Indicator)という意味です。

KPI は主要業績指標や、重点業績評価指標などと訳されるだけで、具体的な指標は定義していません。当然、各企業やビジネス組織によって KPI は自由に設定することが出来ます。

例えば、契約の成約率や1件あたりの受注高なども KPI に出来ますし、顧客への訪問回数というのも設定できます。要は、設定した KPI が売上や利益といった、目標とする財務指標に結びつけば良いのです。(財務指標自体もビジネス組織の最終的な KPI ですが。)

BSC (バランス・スコアカード)を利用して業績評価する場合も、PDCAサイクルで評価をマネジメントする場合も、KPI という指標を最初に設定しておかなければなりません。

KPI はもちろん私生活でも使えます。「1ヶ月以内に 2kg 痩せる」というのは立派な KPI ですね。ビジネスでも同様に、いつまでに・いくつを、という数値で目標を立てます。これは評価を曖昧にしないためには必須ですね。

曖昧ではなく、KPI という数値目標を使う。これもビジネスの掟の一つです。
posted by jhirano at 21:27| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月29日

PDCAマネジメント

前回の話から少し脱線しますが、今日のタイトルはPDCAマネジメントです。

ビジネスに限らず、現状を改善するためには改善のサイクルが必要です。
計画して、実行して、検証して、改善する、というサイクルです。

これらの頭文字を取って、PDCAサイクルと呼んでいます。

 (1)計画する:Plan
 (2)実行する:Do
 (3)検証する:Check
 (4)改善する:Action


(1)最初に何を実行するかの計画を立てます。
この時、検証のことを考えて評価指標を決めておきます。
例えば、営業マンがお客様を1週間に3回訪問する、と計画します。

(2)計画を立てたら、それを実行します。
前の例では、月・水・金に1回ずつ訪問します。

(3)実行したら、その結果を検証します。
同じく、1週間経ったら本当に3回訪問したかを確認します。

(4)検証の結果を受け、なぜその結果になったのかを考えます。
その結果が悪かった場合は改善活動に、良かった場合は目標を上げます。
2回しか訪問できなければ、その理由を考え、必要に応じて改善する、
3回訪問できていれば、次は4回訪問できる方法を考える、ということです。

例として挙げたのは非常に簡単な話ですが、PDCAマネジメントはビジネスにおけるあらゆる場面で活用することが出来ます。もちろん、BSCもこの考え方を使って評価することができます。

しかし実際には、このサイクルが途中で止まってしまうのを良く見かけます。
最初の掛け声は良くてすばらしい計画を立てても、実行している間にいつの間にかうやむやになっていく、こんなことは日常茶飯事です。

おわかりだと思いますが、PDCAサイクルは非常に簡単なものです。
ですので、このサイクルが回っているかどうかをしっかりマネジメント(管理)して、途中で曖昧にしないことが大事です。

ビジネスに“曖昧”は許されません。
明日からでもPDCAサイクルをしっかり回すようにしましょう。
posted by jhirano at 21:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月28日

BSC (バランス・スコアカード)(1)

企業などのビジネス組織の業績を評価する指標は、売上高や利益(率)であると前回書きました。最終的にはそれらの「いくら?」という数字が評価されます。

ですが、最近ではBSC(バランス・スコアカード)という考えがあります。
これはビジネス組織の業績を、多面的な指標で評価しようという考えです。
ビジョンや戦略に基づいて、様々な視点から達成度を評価します。(下図)

BSC(1).JPG

図:BSC の基本概念図(クリックで拡大表示されます)


これは、ハーバード大学のキャプラン教授とノートン教授によって提示されたコンセプトで、今では日本でも一般的に広まっています。BSCでは 4つの視点から評価指標を決め、それぞれの因果関係を含めて評価し、PDCAサイクルによって改善を図るというものです。(本来のBSCでは、評価指標の定義と業務の実行までしか考えていませんが、私は改善までを含めて考えています。PDCAサイクルについては後日書きたいと思います。)

BSCで定義している視点は以下の4つです。
 (1)能力と学習の視点
 (2)内部プロセスの視点
 (3)顧客の視点
 (4)財務の視点


これらには図に示したような因果関係があります。例えば、内部プロセスの改善によりコスト削減という財務の結果が現れる、といった感じです。なお、日本語訳については諸説がありますが、私はここで紹介した4つの和訳を用いています。

これからあと4回に渡り、それぞれの視点について述べたいと思います。
(その前に、PDCAサイクルの意味を書いた方が良いですね。)
また、評価指標のことを KPI (Key Performance Indicator)と言いますが、
これについても別途述べたいと思います。

あなたの会社・チームでは、どのような評価指標を持っていますか?
どのように評価し、改善につなげていますか?

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だんだん暑くなってきました。アイスコーヒーを飲みたいですね。

ブルーマウンテンNo.1ブレンド(500g) <ブルーマウンテンNo.1ブレンド>!
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posted by jhirano at 19:08| Comment(2) | TrackBack(0) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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