<市場の失敗>
前々回の「需要と供給の調整機能」で説明しましたが、現実の経済・市場においては「完全競争」というものはほとんど存在していません。経済学の世界では、こういった状況を含め市場メカニズムがうまく作用しない場合を「市場の失敗」と呼んでいます。(これは広義の市場の失敗で、狭義には完全競争が成立しているのに、効率的な資源配分が行われない場合を市場の失敗と言います。)
市場の失敗の具体的な状況は、様々な分類で考えられています。ここでは、(1)不完全競争、(2)外部効果、(3)公共財という3つの状況を説明します。
<(1)不完全競争>
生産者が1社(独占)または少数(寡占)であると、生産者側に価格をコントロールできる力が生じます。消費者側は選択権が少なく、生産者側の決めた価格・供給量に従わざるを得ません。こういった状況は政府の独占禁止政策などで制限されます。詳しくは別途、完全競争/不完全競争について説明したいと思います。
<(2)外部効果>
外部効果とは、ある経済主体の行動が、市場を通さずに他の経済主体に影響を与えることを言います。例えば、工場が排煙・排ガス・廃水などで環境汚染をすることは、お金のやり取り(市場)を通して行っていることではありません。そこで生産された製品には、環境汚染費用というのは含まれていません。
市場の動き(製品の売買)と社会的な資源配分に乖離ができてしまう、という状況に陥ります。市場的には良くても社会的に別の影響を与える、これは狭義の市場の失敗に含まれます。
<(3)公共財>
公共財とは、公園や道路といったような受益者負担の難しいものを言います。例えば、公園のブランコは利用しないのでお金を払いません、とは言えません。あれば使うけど、なくても自らがお金を払ってまで作ろうとは思わない、というようなものです。
こういったものは政府や役所が税金を使って供給することになります。その際の決定権(何を、いつ、どれだけ作るか)が問題になります。実際には政府や役所・議会といった社会的に供給が調整されるため、市場の問題ではなくなります。公共財は生産・費用の流れが発生するものですが、市場ではなく社会的な議論となりますので、これも狭義の市場の失敗の一つとなります。
以上、本日は市場の失敗という言葉について説明しました。
【関連する記事】

